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炎と雪と謝肉祭(Fire And Snow And Carnevale / Winter, Fire And Snow)私訳

炎と雪と謝肉祭(Fire And Snow And Carnevale) 冬、炎は美しい 音楽のように美しい それは洞を照らす―― 外では人々が家へ向かい ゆっくりと道をのぼる――ラジオから流れる ヴェルディの旋律 あらゆる冬を雲が吊るした いちばん遠い丘に 雪の降りだす三時間前...

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あの夜を An oiche (The night アイルランド伝統歌)私訳

あの夜を きみ思ほふやあの夜を 帽子、手袋、外套なしに窓辺にをりぬ われは手を延べきみ握りしか 帽子、手袋、外套なしに 恋人よ、わがもとへ来よと ひばり語りぬ きみ思ほふやあの夜を ひどく冷ゆる夜なりき われは手を延べきみ握りしか 帽子、手袋、外套なしに 恋人よ、わがもとへ来よと...

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フランシス・レドウィッジを悼んで(1980年) In memoriam Francis Ledwidge (1980) (Seamus Heaney)私訳

フランシス・レドウィッジを悼んで(1980年) 1917年7月31日、フランスにて戦死 空想の風にぎこちなく皴になった青銅のマントを 青銅の兵士が引き寄せている 現実の風が磨き清めても 蹲りながらの突進はそのまま吊るされている フランダースから。ヘルメットと雑嚢、 台尻から銃剣へ...

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トーマス・マクドナーへの哀悼 The Lament for Thomas MacDonagh(Where All Roses Go、Francis Ledwidge)私訳

トーマス・マクドナーへの哀悼 (この世の薔薇のゆくところ) ゴイサギの叫びも聞こえはしなかったろう 荒れた空の下、死へ近づいてゆくそのとき 優しい鳥の歌を雲の上で聞くこともなかったろう 物悲しい雨のせいで 斜めに降る雪の合間から鋭い号令を鳴らし 混乱したラッパ水仙たちの 黄金の杯...

詩人の墓にて At A Poet's Grave(My songs shall rise、Francis Ledwidge)私訳

 詩人の墓にて(わたしの歌はよみがえる) 友なるパイプを置き 愛する花を散らされ眠るとき わたしの心に兆したうたは 自然のなかにあらわれる ここに心やさしき詩人が眠り 歌われなかったうたをわたしは聞く 吹く風に花々が揺れ アリウムの花房が鳴るときに 

鳥を迎へよ (Failte don ean, Séamus Dall Mac Cuarta) 私訳

鳥を迎へよ 鳥を迎へよ 日に伸ぶる灌木の美を歌ふ森の最愛を迎へよ この生に吾ははや倦みはてつ そのすがた新緑の時も見ること叶はぬゆゑ 頭上の枝に面影さがせば 見えねど聞こゆ くりかへし郭公よべる鳥の歌 其はわが苦き心痛ぞ 丘を取りまく花をたずさへ 北に南に、アイルランド中に集ひく...

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アイルランド (Ireland, Francis Ledwidge) 私訳

アイルランド おまえを森と渓谷のうつくしい名で呼んだとき 幼いわたしの声におまえは応えず 古代の英雄に熱狂し 大神率いる軍勢を求める声にばかり耳を傾けていた わたしは風すさぶ高みまで飛び嘆き叫んだが おまえは風に耳を傾けず 飛び立つ小さな船や 残された丘の嘆きに耳を傾けるばかりだ...

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Siuil a Ruin (Walk my love) (私訳・旧仮名文語ver)

Siuil a Ruin (Walk my love)  あの丘にひとりをりたし 泣き声ぞ溢れさせたし さらば涙はいつまでも水車をまはし流れむを やさしき言の葉のみくれし 恋人の膝の上にぞ帰りたし つひに叶はぬことばかり吾に語りし恋人ぞ (Chorus)  吾がもとへ来たれ恋人よ...