tanka

燭台に音楽

                    花びらは音もたてずにひび割れて終わらない神さまの金継ぎ 口蓋を天のひとつと思うときアスファルトから風吹きあがる 美しい古代神話のように見るWikipedia・ブラキストン線の項 触れてはならぬものがあまりに多すぎてパントマイムの手が傘みたい...

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まぎれて生きる・ちょっと遠くからの距離――松本てふこ『汗の果実』について(読書会発言メモ)

1.きみともあなたとも呼ばないひとへのエール  花は葉にまたねとうまく笑はねば (p16)  問ひかける言葉ばかりの賀状書く (p36)  飛花落花名を呼ぶといふ激励も (p76)  雪道を撮れば逢ひたくなつてをり (p119)  励まされつつマフラーを巻かれつつ (p145) ...

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オデッセイ

  ホールケーキ切り分けたのはどなたの手 国境線を渡る鳥たち トランクを開ければすでに干上がってもう語られぬ係累達よ 燃え落ちる星の色彩 沈黙は図鑑になるほどあるとも言うね 最初から雌しべは取り囲まれていて逃げることさえできなかっただけ 触れることの暴力・無力 指先で点字をなぞる...