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Fair is foul, and foul is fair――佐々木紺の透視する目(第十三回北斗賞 佐々木紺『おぼえて、わすれる』を読む)

Fair is foul, and foul is fair: Hover through the fog and filthy air. きれいは汚い、汚いはきれい。 飛んで行こう、よどんだ空気と霧の中。 “Macbeth” Act1,Scene1 A desert place...

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こころは叫ぶ(Why should I sleep, W.B.Yeats/M.McGlynn )私訳

こころは叫ぶ 風よ、風よ、潮風よ なぜ眠らねばならぬのか 風は空の雲うち追える 風よ、風よ、潮風よ なぜ眠らねばならぬのか 風は空の雲うち追える われはつね風のごと彷徨う 風よ、風よ、海の風 なぜ眠らねばならぬとこころは叫ぶ いまは眠れとこころは叫ぶ 風よ、潮風、海の風 か...

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死せる王達(The Dead Kings, Francis Ledwidge)私訳

死んだ王達 ロスナリーにてまどろみをれば 死せる王達わがもとへ来たり 明け方わずかなる星々ひかり 露流れたる茨の枝をしならせぬ 死せる王らそのいずれも 語り続けられたる古き栄光の物語もてり 雲雀が鳴くには早き頃合い 星あかりに闇は金の色みを帯びてをり 歌にもなりしエーラの嘆きに ...

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しづかに、モイル (Silent, O Moyle, Thomus Moore)私訳

しづかに、モイル しづかにモイル、轟く水よ 風よやすらかに乱れてはならぬ 悲嘆にくれしリルの娘が星ぼしに 鳥に変じて彷徨へるおのが苦難をささやけり 絶唱をへし白鳥も羽をたためる闇のなか いつかやさしき眠りへつかむや     天上の鐘のやさしく鳴りわたり いつか吾を恐ろしき地上より...

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炎と雪と謝肉祭(Fire And Snow And Carnevale / Winter, Fire And Snow)私訳

炎と雪と謝肉祭(Fire And Snow And Carnevale) 冬、炎は美しい 音楽のように美しい それは洞を照らす―― 外では人々が家へ向かい ゆっくりと道をのぼる――ラジオから流れる ヴェルディの旋律 あらゆる冬を雲が吊るした いちばん遠い丘に 雪の降りだす三時間前...

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あの夜を An oiche (The night アイルランド伝統歌)私訳

あの夜を きみ思ほふやあの夜を 帽子、手袋、外套なしに窓辺にをりぬ われは手を延べきみ握りしか 帽子、手袋、外套なしに 恋人よ、わがもとへ来よと ひばり語りぬ きみ思ほふやあの夜を ひどく冷ゆる夜なりき われは手を延べきみ握りしか 帽子、手袋、外套なしに 恋人よ、わがもとへ来よと...

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フランシス・レドウィッジを悼んで(1980年) In memoriam Francis Ledwidge (1980) (Seamus Heaney)私訳

フランシス・レドウィッジを悼んで(1980年) 1917年7月31日、フランスにて戦死 空想の風にぎこちなく皴になった青銅のマントを 青銅の兵士が引き寄せている 現実の風が磨き清めても 蹲りながらの突進はそのまま吊るされている フランダースから。ヘルメットと雑嚢、 台尻から銃剣へ...