貫かれなほも動ける肉体の痙攣のごと何故と問ひたり
死にたしも生きたしも刃の裏表いつか死ぬならひたすら駆けよ
篝火よ祭のあとは燃えさしの煙ばかりの明日の来たるや
親指の爪を立つればあつけなく割れたる果皮の抵抗かなしも
馬よ馬よおまへの背を貫ける死とも知らずに吾を運べる
空つぽの墓の名を撫づどの墓もいつかは空になるのだらうが
他愛ない約束ばかり知らぬ間に振り撒きながらこんなにも駆け
あはあはと揺るる木陰の山河にはつひぞなれずに吾は人なりき
映画「長安のライチ」に
(狐弾亭・つきのこどもフリーペーパーより)