馬と茘枝

2026年8月7日金曜日

tanka


    

貫かれなほも動ける肉体の痙攣のごと何故と問ひたり

 

死にたしも生きたしも刃の裏表いつか死ぬならひたすら駆けよ

 

篝火よ祭のあとは燃えさしの煙ばかりの明日の来たるや

 

親指の爪を立つればあつけなく割れたる果皮の抵抗かなしも

 

馬よ馬よおまへの(せな)を貫ける死とも知らずに吾を運べる

 

空つぽの墓の名を撫づどの墓もいつかは空になるのだらうが

 

他愛ない約束ばかり知らぬ間に振り撒きながらこんなにも駆け

 

あはあはと揺るる木陰の山河にはつひぞなれずに吾は人なりき

 

映画「長安のライチ」に

(狐弾亭・つきのこどもフリーペーパーより)