fanfiction tanka written-language

橋を渡る

(ZABADAK「五つの橋」に)

fiction

いつか、パディントン駅で

 クリスマスについて王国で一番詳しいのは多分カトンだった。 ベアが歌いだすのが合図なんだって。 棚の奥で眠るわたしを起こそうと、耳元でカトンは囁く。八月になると王国にはベアが産まれる。毎年毎年生まれるのに、服や顔はその年ごとに違うらしい。どこからか現れて国中を埋め尽くし、やがてず...